潮通しが良く、ある程度水深が有る漁港や地磯などに、群れで回遊してきます。
回遊して来る場所は、ほぼ決まっていて、毎年回遊して来る場所には、ほぼ回遊して来ます。シーズン毎に回遊の時期が早くなったり、遅くなったりすることが有ります。
ヤリイカやササイカは、12月頃に長崎県の五島沖などを北上し、12月末頃から1月頃には、第1陣の群れが九州北部や山陰地方に到達しているようです。
いくつもの群れに分かれて回遊していて、多くの群れが接岸して漁港や地磯などで釣りやすい時期は、2月3月頃になりますが、その年により回遊状況が異なるので、早くから釣れる年や、遅くまで連れ続ける年も有ります。
普段は海底に根などが点在している場所を生息し、潮流に乗って回遊し、イワシやアジなどの小魚を捕食しています。
通常は、水深180m~100m程度の海域に生息していますが、産卵時期3~5月頃に岩礁帯などが有る、水深5~50mくらいまでの浅場に接岸してきます。
(ヤリイカの産卵時期は3~5月頃・ササイカの産卵時期は1~3月頃)
産卵後は段々と深場へ落ちていくので、漁港などでは釣れなくなります。
ササイカとヤリイカは姿形がそっくりで、普段から見慣れていないと見分けがつきにくいです。
ササイカは、ヤリイカと比べて身が薄く、足が短いです。足についている吸盤も非常に小さく、2本有る触手にも吸盤はほとんど付いていません。
ササイカは産卵時期が早いので、シーズン当初に釣れることが多いです。
ヤリイカは、長くて太い足が特徴です。触手も長く、吸盤も小魚を捕食しやすいように、アオリイカのように大きな吸盤が付いています。
シーズン中盤は、ササイカとヤリイカが混じって釣れますが、シーズン後半には、ヤリイカが多くなります。
ササイカ・ヤリイカ共に、オスが40~50cmと大きく、メスは15~30cmと小さいです。
昼間は、群れが岸よりに接岸して来ることが少ないので、主に夜間に狙います。
鳥のささ身やキビナゴやサヨリなどを巻き付けた、餌巻きスッテ仕掛けに電気ウキを付けて狙う釣り方が一般的です。
この釣りで一番重要なのが、ウキ下の設定です。
ヤリイカのなどの群れは、その日の天気や潮流・潮汐などによって回遊する水深(棚)が違います。また、時間が経つと、回遊する水深が変わってくることが有ります。
特に水深が深い場所で狙う場合には、ヤリイカなどが回遊する範囲が広くなるので、いち早く回遊する棚を見つけ出すことが、数釣りをするコツになります。
その為、釣れ始めるまでは、こまめにウキ下調節をして、ヤリイカの棚を探し出します。
他に釣り人が居ない場合などは、棚を探すため2本竿を出し、釣れた方の棚に合わせると、早くその日の棚を探すことが出来ます。
電気ウキに出てくる、ヤリイカなどのアタリは、様々な形で現れます。
電気ウキが水中に消し込まれることも有りますが、喰いあげて、電気ウキがお辞儀をするように、何度も倒れたり、潮の流れが有るのに、動きが止まる場合や、流れていた方向と逆方向にゆっくりと動き出したりします。
はっきりとしないアタリが多いので、電気ウキに異変を感じたら、空合わせになってもいいので、合わせを入れます。
ヤリイカが掛かって居なくても、合わせが誘いになって、ヤリイカが抱きついて来ることが有るので、空降りでもいいので、積極的に合わせを入れた方がいいです。
ヤリイカが乗ったら、リールを巻いていきますが、アオリイカのように、引いたりする事は無いので、一定のスピードで巻き取ります。
餌巻きスッテには、返しが付いていないので、糸を緩めてしまうとバレる原因になります。
群れが回遊して来ると、アタリは多くの人に釣れるので、もし釣れない場合は、釣れている人と同じウキ下に調節すれば、釣れやすくなります。
磯竿の2~3号で長さは3.9~5.3m程度で、釣り場の状況や好みで長さを調節します。
40~50mクラスのヤリイカがダブルで掛かることも有るので、最低でも2~3号クラスの磯竿が必要になります。
普段、ルアー釣りをしている方は、シーバスロッドなどでも流用出来ますよ。
さほど遠投する必要もなく、アオリイカのようにドラグを出すようなことは、ほとんど有りませんので、リールは、2000~3000番程度の大きさのもので、ラインが150m程度巻いていれば充分です。
市販の餌巻きスッテを使用します。
最近では、平らな餌巻きスッテの他に、餌木の形をした餌巻きスッテも有ります。
潮の通りが悪い時や潮通しが悪い場所では、餌木型餌巻きスッテは潮に乗り泳いでくれるので、ヤリイカにアピールする力が強くなります。
餌巻きスッテには、おもりが付いているものと、おもりが無いものが有り、おもりが付いている餌巻きスッテを一番下に取り付けて、おもりが無い餌巻きスッテは、その上に取り付けます。通常餌巻きスッテを2つ付けた2段仕掛けで釣りますが、慣れていない場合は1段だけでも良く、慣れている人は3段仕掛けで釣られている方もいらっしゃいます。
初めての方は、ウキもセットになった、2段仕掛けが販売されているので、それを使用していもいいです。
根掛かりが多い場所では、一番下におもり付きの餌巻きスッテを付けずに、通常のおもりを取り付ければ、根掛かりしにくくなります。
餌巻きスッテのボディに、ケミホタルなどの発行体を付けれる溝が付いているので、そこに、発行体を取り付けると、常夜灯が無い釣り場や闇夜の日は、ヤリイカに餌の存在をアピール出来ます。
電気ウキは、取り付けた餌巻きスッテの重さに合わせて、2~5号程度負荷のウキを選びます。
先端にケミホタルなどの発行体を付けるタイプでもいいですが、ヤリイカのアタリは、沈み込むアタリよりも、電気ウキが倒れてお辞儀をしたりすることも多いので、2点発行タイプの棒ウキ型の電気ウキがアタリが取りやすくて、ヤリイカ釣りに向いています。
餌は、キビナゴや鳥のささ身・サヨリの切り身・小アジなどを使用します。
いずれの餌を使用する場合にも、事前に塩をして、シメておけば餌持ちが良くなります。
意外とフグなどに突かれて、餌が取られることが多いので、あらかじめ塩をした後に、天日で干して身を硬くして、餌持ちが良くなるようにしている方もいらっしゃいます。
釣り場で他の釣り人の人から聞いた話では、
「夏にサヨリの切り身を干しておくとカラカラに乾燥して一晩中餌が取れることが無い。」
「鳥のささ身をぬか床に漬けてから干すと、アミノ酸が多くなり、イカの乗りがよくなる。」
「鳥のささ身を集魚剤に漬けている」
など、実際の効果は分かりませんが、皆さん、色々と工夫されているようです。
最近では、事前に切り分けられて、塩などの処理がしてあるものが釣具屋で販売されているので、それを使うと便利です。
餌は、スッテにステンレスの糸で巻き付けますが、スッテの掛けバリ部分から、2cm程度、ヤリイカが掛かりやすくなるように、スペースを開けておき、均等に巻き付けていきます。
ヤリイカ・ササイカはエギングでも狙えます。
普段、アオリイカをエギングで狙っている方は、そのタックルで狙えます。
餌を準備する必要もないので、急な釣行や短時間の釣行・いろいろな場所をランガンする場合には、効率的に狙うことが出来ると思います。
ヤリイカは、アオリイカよりも警戒心が強いので、激しいシャクリよりも、優しいシャクリの方が乗りがいいように感じられます。
エギングだと、餌巻きスッテようにウキ下調節の必要がなく、広く棚を探ることが出来るので、釣り始めは、いろいろな棚を探って、その日のヤリイカの回遊する棚を探し出すことが数釣りのコツになります。